安心してください、神ってますよ。

CTDやターボマップのように船の右手横側から海中にセンサー沈める観測では、波浪や海流、横風の強さに応じて絶妙な操船を必要とします。布目航海士(左奥)がセンサーケーブルの状況を目視しながら無線連絡で細かく現場とやりとりし、それと連携して芥川船長(右手前)がそっと撫でるように舵を操ります。

みらいは、もう20日以上同じところにいますが、速度が遅い時ほど風や波や流れの影響を受けやすく、状況に応じた様々な操舵の技術を必要とします。ラジオゾンデは、風を船の左手から受けるように向きを変え、バルーンが船の右手に上手く流れるように体制を作ります。その直後のCTDやターボマップでは、逆に風を右手から受ける向きに体制を入れ替えます。そうするとケーブルを水中に下ろして行く間に、風で船が自然と左手へ流れていきます。そうすることで、ケーブルが船の下に潜り込むことを避けているのです。

つまり、同じ緯度経度に止まりながら、ひと時も休まず、船は巧みに動き回り、様々な条件を船に要求する全ての観測を成立させているのです。当然、安全性も絶対に保った上でのことです。こういう目に見えない総合的なスキルこそ、モテサクは、「神業」と呼びたいのです。無数にある一つ一つの作業や連絡や判断が全て正確でなければ成立しないからです。

「みらい」は、安全で確実に全ての観測を成立させるためだけに向きを変えていきます。観測の合間で、丁度夕日の沈む方向に船首が向く瞬間には、長く乗っていてもなかなか出会えません。こういう瞬間にも言いたくなります。

「神ってる!」

モテサク