小僧の聖地

8月1日(水)晴れ、時々小雨

「天気図小僧」という言葉が通じるのかどうかわからない。
深い意味はなく、単に天気図を描くのが好きだった子供、くらいのつもりで使っている。海外に出かけたこともないその小僧にとってラジオから流れてくる気象通報の地点は、どこも一人勝手に有名な場所になっていた。
今では1日に1回しか流れないが、そのラジオ放送に耳を傾けたことがある人ならば、ラワーグという発音に聞き覚えがあるだろう。昔を知っている人にとっては、東経135度、北緯29度の定点観測船と同じくらい特別な場所かもしれない。台湾とルソン島の間にあるバスコからの通報が流れない時だけ呼ばれる町なのである。つまり、天気図用紙には最初から記号を記す白丸がない地点なのである。バスコからの通報が数年に渡って途絶えた時期もあったが、今はバスコからの通報が行われているので、やはりたまにしか呼ばれない地点である。
かつて22時からの放送を毎日聞いて描き続けた天気図小僧にとって、ラワーグは特別な名前だった。そこに立ち、気象台職員の作業を横目に、自らの観測を行うことがあるとは30年以上も昔に想像するわけもない。この滞在中に、ご厚意で1度、準備が整ったラジオゾンデの放球役をさせてもらった。自分で揚げているゾンデとなんら変わらないのに、やはり特別である。気象庁のHPで調べてみると、ちょうどその日はラワーグからの通報になっていた。
西南西の風、風力3、晴れ、07hPa、30℃。

ようやく立ったその場所だったが、他のメンバーよりも数日早く離れる日がやってきた。気象台から歩いて1分もしないラワーグ国際空港から1時間でマニラに戻ってきた。

気象台の皆さん、ご協力ありがとうございます。観測はまだ続きます。これからもよろしくお願い致します。(ky)