トライトンブイ

航海期間も三分の一を過ぎてしまい、本日の写真も1週間ちょっと前の話となってしまいますが、本日はトライトンブイの話を。

今回の観測では、多種類の観測が可能な「みらい」の周囲に、無人プラットフォームを複数配置し、従来よりも細かい水平スケールでのデータ取得を目指しています。その無人プラットフォームの一つが、この「トライトンブイ」です。
もともとは、熱帯太平洋・インド洋を網の目のように覆うブイ観測網の為に開発・運用されてきたブイです。今回は、そのうちの1基をお借りして、「みらい」の定点観測期間(1ヶ月)のみの観測に使わせていただいています。

写真の1枚めは、ブイを海面に下ろした直後の写真です。ここに写っているブイが、全体の最上部、海面に浮かぶ部分になります。そこには、各種の気象センサが付けられており、海面から出入りする熱や運動量などのエネルギーを計測しています。そのブイの下部にはワイヤーやロープが取り付けられており、先端の錘で海底のある点に固定されます。投入作業開始直前の写真が2枚めで、奥に見える丸い海面ブイ(投入後には海面下になる部分を下から見ている格好になります、ちょっとわかりづらいかもしれません)と、そこから伸びるワイヤー(黒)、ワイヤーに取り付けられた多くのセンサー(銀色や白)、が見えるかと思います。センサーでは、水温や塩分を測ります。今回は、浅い部分(海面〜深さ数十メートル)のセンサー数を通常の数倍である深さ5m間隔にして、大気とより密接に関係する海洋上部の鉛直構造をより詳細に捉えようとしています。

2枚めの写真でもわかるように、ブイの投入(や今後の回収)作業には、多くの人手がかかり、時間も半日以上必要です。一方で、トライトンブイ観測には既に20年以上の経験と技術が蓄積されており、安定した高品質データの取得が期待できます。既に投入から1週間経っていますが、特に問題なく観測を続けられているようです。もともと、1〜2年の間データを取り続けられるような機材なので、1ヶ月程度の観測は、「彼」にとっては余裕かもしれませんね。

1ヶ月後の回収まで、どんなデータが取れてくるか、楽しみです。

(M.K.)