カテゴリー: YMC-BSM 2020-J
ARGOフロート投入
出港して5日目になりました。航海に初参加の筆者は毎日、船酔いに苦しんでいるところです。乗船している他の皆さんが平然としているのが不思議でなりません。
さて、昨日はARGOフロートの投入作業がありました。ARGOフロートは海洋を海流にのって移動しながら、プログラム通りに下降、上昇を繰り返して海水温などのデータを取得します。そして、取得されたデータはARGOフロートから衛星を経由して陸上へ送信されます。ARGOフロートは投入された後、数年ほど動作し続けるということです。
ここからARGOフロートはどこかへ戻ることもなく、誰かに回収されることもなく、海洋を漂っていきます。そう考えると何だか寂しいようにも感じられます。それでも、ARGOフロートが取得したデータは、世界中の研究者が大気海洋の現象を解析するのに役立つのだから、それで役割は十分に果たせるのだろう、とARGOフロート投入の作業を見ながら思っていました。
「みらい」航海開始!
前日までの梅雨空とはうって変わり、今日は朝から良い天気となりました。東海地方や関東甲信地方では梅雨明け宣言もなされたそうです。
そのような、天候の季節進行としては節目の日の朝9時、研究船「みらい」は静岡市の清水港から出港し、一路、西部熱帯太平洋へと航走をはじめました。YMC-BSM 2020集中観測の要、「みらい」MR20-E01航海のはじまりです。
本航海では、パラオの北方海域に約1ヶ月間滞在して大気・海洋物理観測を行い、雲活動や海洋構造、大気海洋相互作用に関するいろいろなデータを取る予定です。
7月は、台風がひとつも発生しないなど、西部熱帯太平洋では雲活動があまり活発ではない月でした。その間、雲活動をもたらすエネルギーが使われずに蓄えられ続けたことになります。この蓄えられたエネルギーが定点期間中に解放されて雲活動が活発化するのではないか? そうすると、興味深い現象をたくさん観測で捉えられるのではないか? と今から期待が膨らみます。
航海は、もちろん安全第一です。特に今航では、新型コロナウイルス感染症が収束の兆しをみせない現状を受け、感染症対策にも万全を期して観測に臨んでいきます。