いつもの風景

1月16日火曜日、現地時間の朝6時半のラジオゾンデ放球が、2ヶ月間に及ぶ集中観測の最後となりました。その後、現地に滞在していたJAMSTEC職員は、BMKGやBPPTの職員とともに、データ回収や測器の撤収作業を行いました。中には100㎞離れたエンガノ島までフェリーで渡り、自動地上気象観測装置を0泊3日(船内で2泊)で撤収した作業も含まれます。こうして、1月19日には、今回の集中観測のために特別に展開した機材はすべて片付けられました。最後まで現地に残っていた研究者も1月20日土曜日には無事帰国し、これをもって、本当にYMC-Sumatra 2017集中観測期間が終了した、と宣言できることになりました。

観測に参加した研究者や技術員、学生の皆さんはもちろん、数値予報を出し続けたモデル班、後方支援の事務の方々、観測許可取得に奔走してくださった文部科学省、外務省、在インドネシア日本大使館、そしてインドネシアのBMKG、BPPT、研究技術高等教育省、防衛省、外務省など政府関係機関、ベンクル州政府と地元関係機関の皆さん、改めてご協力に感謝致します。観測は毎回そうですが、研究目的があり、よいデータを取得するために、計画立案・準備と進むのですが、なにより大事なことは事故なく終えることです。今回も達成することができました。まして、今回は大規模場の特徴としてはラニーニャ現象の発生した状態での観測となり、2015年に実施したpre-YMCキャンペーンとは異なる様子をいくつも捉えることにも成功しています。研究者は解析や数値モデル研究を進め、このデータの意味するところを明らかにしてゆきます。

写真は16日の朝に集中観測が終了したその数時間後、現地空港測候所の職員によるパイロットバルーン観測の様子です。ラジオゾンデ観測は1日8回から00Zと12Zの1日2回に戻り、06Z(現地の正午過ぎ)には、こうして色のついたバルーンだけを放ち、方位角と高度角を目で追いながら、上空の風を計測しているのです。当たり前ですが、現地測候所はいつもの風景に戻っていました。帰り、測候所のある空港を飛び立った機内から、稜線に沿って発達している雲が見えました。今回は会う機会がやや少なかったものの、これも、いつもの風景です。(KY)

IOP Ending イヴ

2018年1月15日(月) 晴れ

 

YMC-Sumatra 2017 集中観測期間もいよいよ明日が最終日です。
1日早いですが、集中観測に協力してくださった地元の州政府、海軍、警察、港湾当局、空港当局、さらにラジオゾンデやレーダー観測などを担当した気象・気候・地球物理庁(BMKG)の各セクションの職員はもちろん、技術評価応用庁(BPPT)やベンクル大学の教員と学生、そして複数の地元メディアまで総勢50名を超える参加を得て、IOP報告会を開催しました。冒頭、観測風景のスライドショーが流れた後で、BMKG研究開発センター局長のUrip博士から、今回特に主要活動となったラジオゾンデ観測について、各種統計情報(到達高度分布や、最低・最高到達高度に達した担当者の発表-ただし、別にそれで良し悪しが言及されるわけではありません!)を交えて順調に観測が行われたことの報告がありました。JAMSTECからは、YMC研究コミュニティを代表して、最初のIOPが事故・トラブルなく終わろうとしていることに謝意を示すと同時に、初期解析結果を数例提示し、最後に今後の活動予定を紹介しました。今後発表される多数の論文によって、ブンクル(※)の名は有名になるであろうことを、そしてまた、近い将来ブンクルに成果還元となる成果を持って報告会を行うために研究者が戻ってくることを。報告会最後には、参加・協力の証として、謝意を記した証明書が各機関の代表者に手渡され、記念撮影が幾度も行われました。(KY)

※ … 集中観測の行われた “Bengkulu” は、日本語表記では一般に「ベンクル」と記されます。しかし、実際の発音は「ブンクル」に近いです。このため、本ブログにおいても、現地に赴いた研究者からの投稿記事では、しばしばベンクルではなく、ブンクルとしたためられています。ご確認ください!

現地報道

昨日(12月27日)、ベンクル測候所では、現地メディアを対象としたプレス発表が行われました。
ここまで順調にデータが取得されている状況を踏まえ、参加機関の1つインドネシア技術評価応用庁が企画して、気象・気候・地球物理庁ベンクル測候所とJAMSTECも加わり、地元へのアピール活動として行われました。YMCではアウトリーチを主要活動の1つとして、特に地元への成果の還元を重視しているのです。そもそもなぜベンクルという町が国際プロジェクトの実施場所に選ばれたのかという話から、集中観測の開始から1ヶ月以上経ち、どのようなデータが得られているのか速報結果の紹介、さらには実際の観測現場にも立ち会ってもらい、活動を紹介しました。メディアに加え、地元の大学生も見学にやってきました。その様子は、早速新聞やインターネット上の記事や動画などで配信されています。確認したサイトのいくつかを紹介します。ただし、いずれもインドネシア語(一部英語)です。 (KY)

Bengkulu News – ベンクルニュース(紹介記事)
(http://www.bengkulunews.co.id/pengaruhi-perubahan-iklim-dunia-jamstec-riset-fenomena-cuaca-bengkulu)

Kompas TV Bengkulu – コンパステレビ(動画)
(https://youtu.be/yyhgMO5UVLM)

 

ようこそみらいへ。

ジャカルタ入港中のみらいに観測の様々な支援をしてくださったBPPTおよびBMKGの皆様が訪問してくださいました。今回の観測航海の首席研究者・横井さんから支援に対する感謝と観測協力継続の重要性が伝えられました。船内見学では、みなさんが熱心に質問も交えて参加されていました。

モテサク

ランブータン

もう日本に戻りましたが最後に、現地で一番食べた果物を紹介します。

こちらは観測所に生えているランブータン。一本の木からおそらく1000個くらい実がなるのではないでしょうか。12月の間、どんどん実が赤くなり毎日、職員さんや演習に来ているベンクル大の学生が昼休みに取って食べていました。私も、ほぼ毎日1つは昼食後に食べていました。味は個人的にはライチに近く、非常においしいです。他にも、日本では見たことのないフルーツがいっぱいありましたので、ぜひインドネシアに行ったときは食べてみてください。(tk)

BMKGのお正月

年末~年始にかけ、BMKGのパーティーにお邪魔しました。午前中は仕事の合間に鶏肉をさばいてサテ(焼き鳥)などの準備が行われ、夜になると軒下でバーベキュー・カラオケ大会が開かれました。観測所には職場の人のご家族や友人も呼ばれ、みんなでわいわいしていました。また23時すぎごろから海岸で花火がいたるところで行われ、にぎやかな年越しになりました。

ところで、カラオケで私も日本の曲をリクエストされ、1曲歌ってみましたが、ローマ字のみで表示される歌詞を読むことの難しさを初めて知りました。(tk)

What a wonderful world

定点を離れた後も、観測は続行中。航路上の観測点で使用しているのが、UCTD です。
UCTD とは、各水深の塩分・水温をはかるCTD(Conductivity Temperature Depth)観測を移動しながら(Underway)できるシステムです。

準備中のセンサーにぶら下がる虎テープは、観測開始するマグネットスイッチ取忘防止のための観測技術員のアイディア。観測点直上でセンサー投入するため、ブリッジからの観測点までの距離連絡カウントダウンと呼吸合わせ。観測予定深度を確実に超えるための秒単位のウィンチ操作。暗闇の中でセンサーから伸びるケーブルが流れている位置・方向を見極める鋭い観察眼。この観測でも数え切れないほどの技術と英知が見て取れます。

そして今回、この観測がまた進化を遂げました。センサー回収時にケーブルの塩水を洗い落とすのですが、甲板部・谷川さんがウィンチに取り付け可能な穴開きホースのシャワーを考案。ケーブルを巻取りながら洗浄できるようになりました。

技術、観察力、想像力を兼ね備えた彼らと仕事が出来る贅沢を噛みしめつつの年明けです。

(K.T.)

よしこ参上!

よしこ参上!作業中はデキる人オーラばりばりですが、話すとめちゃめちゃ明るくて超親しみやすいマリンテクニシャン石川賀子さん(マリンワークジャパン)。CTD採水やバケツ採水のサンプルから栄養塩の分析装置にかけてデータにおとしていきます。栄養塩とは、植物プランクトンにとっての肥料で、窒素やリン、ケイ素を含む化合物。電気的なセンサー計測ができないので、分析技術を持った人の手での作業が必要になります。モテサクは栄養塩について今まであまり気にしたことがありませんでしたが、よしこさんの説明聞いているうちに、これはちゃんと見ないと、という気になりました。よしこさん、グッジョブ!

モテサク