嵐がついにやってきた!

今朝目覚めると、空模様は昨日までとはまるっきり変わっていました。

昨日まではいわば「好天晴穏日」続きで、昼にはほぼ真上から降り注ぐ太陽光に焼かれ、雨は降ったとしても孤立した積乱雲からほんの短時間だけといった日々でしたが、今朝は広大な降水域が本船搭載の気象レーダーで観測され、断続的に強い雨が降りました。気象衛星画像によると、差し渡し1,000kmほどの雲域のようです。

そう、私たちはこういうイベントを待ち望んでいたのです! きっと誰かさんの雨乞いのおかげでしょう! 突然雨足が強まったときには、思わず外に出て雨滴粒径分布を体感してしまいました。

午後になって、雨は落ち着いてきましたが、今度はもう少しで台風と同程度とも言える16m/s超の風と有義波高3m超の波で本船は揺さぶられています。もうしばらく、嵐の余韻は続きそうです。

(SY)

新メンバー加入!?

みなさま、こんにちは。
航海も後半戦に入りました。平和に、安全に観測を行っています。
さて、最近新しい仲間?が増えまして、乗船者の関心を引いている子がいます。
いったいどこから来たのでしょうか。ここ数日、甲板をうろうろしている謎のとりです。
じっとどこかを見つめていることが多く、何を考えているのか気になってしまいます。
このごろは、とりの目撃情報を交換することが日課になりつつあります。
そして、こころ優しい方がとり用の水飲み場を作ってくださっていました。
とりよ、元気であれ。
(K.I.)

雨乞いの結果: 中間報告

先日、「雨乞い」という投稿を書いた者として、その後をご報告。

……写真の通りです。
衛星画像から、今日こそは派手な雨降りを期待してたのですが、
何故かここ数日「みらい」から見えるのは、こんな雲ばかり。
これはこれで美しいのですが、派手なのが来ません。
水温を見る限り、ポテンシャルは十分あるのに。

……と、さっきまでは悩ましく思っていたのですが、
今夕に配信された予報を見て、俄然気合が入ってしまいました。
さっきまでとは違う嬉しい悩みを抱え、今晩を過ごすことになりそうです。

結果はまた、ここでご報告しますね。

追伸:
先日、「漂流ブイ」の記事の末尾に思わせぶりに書いた事、
どうやら現実になったかもしれません。
日本の皆様、接近中(既に接近済)の台風、どうかお気をつけて。
(気象学者として、派手な気象現象は好きですが、派手な災害は決して好きではありません)

(M.K.)

雨乞い

本日、早朝に漂流ブイ観測(2回め)を開始。
塩分計測が付いてるのがミソなので、塩分を変えるイベント=降雨 を狙ったのですが、少なくとも(日勤の私はいい加減寝なくてはならない)現在(船内時23時前)まで、まぁ、ものの見事に「みらい」の近傍(と漂流ブイの近傍)は降雨から避けられている様子。

周辺の降水雲が撒き散らした雲のおかげで、こんな美しい夕焼けが見れたりしたのではありますが……

いや、私は夕焼けの観測に来たわけじゃない! と自分を戒め、当方の予測の何がまずかったのか、ただ、運がなかっただけなのか、はたまた、晴れ男かもしれない自分が夜ふかししてるからいけないのか…… 少なくとも要因をつぶしていくべく、本日はもう(23時も近づいてきたので)寝ます。

毎日も4時起き。回収は明日の午後。
この後、状況が劇的に変わってますように。
雨よ、近くに来てくれ。

(M.K.)

Rain-ball

When I launched a radiosonde at 0830 UTC (1730 SMT), August 20, I could confirm a balloon was traveling in the rainbow sky.

We have spent here on-station over two weeks and could obtain various observation data. The sky was decorated with this beautiful rainbow, as if they had celebrated us. I had better say rain-ball rather than rainbow to indicate this nice combination.

by BG (edited at J-Office for English ver.)

 

Rain-Ball

8月20日8時30分(UTC)のラジオゾンデ観測では、風船は虹のかかっている空に旅立ちました。

「みらい」MR20-E01航海の集中観測を始めてから2週間が経ちました。これまでに「多彩」な観測データを捉えました。

それを祝おうと空が美しく飾られました。

(BG)

Ocean surface drifter

Now the time for telling surface drifter after two talks on TRITON buoy and wave-gliders, which all form a special observation array around the MIRAI.

Yesterday, I wrote wave glider can measure ocean surface condition without disturbances around wave glider owing to its slim and thin body. The surface drifter, I introduce today, is much easier to obtain data without such noises than wave glider. This is because simply we use a small (O(10cm)) float equipped with temperature/salinity sensors. Since it drifts, it does not create any disturbances around the instrument. After we deploy it, we recover the next day or so. Indeed, we deployed its first trial yesterday, and could recover it today.

Having said that, it is not an easy task than you expect. You may recall that currently we are conducting on-station observation. Namely, while we need to keep the position, we also have to recover the drifter, which moves several 10 km away. Thus, we need to arrange observation as well as personnel schedule.

In addition, although GNSS-receiver is equipped on the float, it is very tough to find such 10-cm diameter ball in the ocean using only GNSS information. Of course, we need to avoid hitting it by the ship. Thus, after we reach the expected area, while we look for the drifter using telescope and binoculars, we also use a small boat. As usual, ship crew can find it earlier than researchers. As shown in photo-2, finally we caught it by hand from the small boat.

I have to talk about science derived from this trial. As noted, this drifter can measure temperature and salinity in a couple of centimeters of the ocean surface, which is greatly influenced by atmospheric condition, and vice versa. Through this knowledge, we’d like to know a life cycle of cloud and associated large-scale features.

Today we recovered the drifter under the heavy clouds (but no rain). According to the satellite cloud images, it was part of cloud cluster of O(1,000 km). In addition, weather forecast says low pressure area was formed around here and then it is expected to move northward. Thus, while I will watch its first data obtained by the drifter, I may also be aware of cloud ensemble movement to see any relation to weather condition over Japan…

by M. K. (edited at J-Office for English ver.)

 

Note.

The drifter we use is called Surpact, which was developed by our French collaborators of LOCEAN. This observation is conducted under the framework of French-Japan Science and Technology Cooperation.  Its details will be noted in the Cruise report.

 

漂流ブイ観測

同じような文体で同じような観測の紹介が続いてすみませんが、本日は「漂流ブイ」の回収作業があったので、そのご紹介。

昨日ご紹介した「ウェーブグライダー」の記事で、「周りの海水や大気をあまり乱すことなく、自然に近い状態のデータを取ることができます」と書きました。それを更に求めたのが、この漂流ブイです。ウェーブグライダーと違って話は単純で、数十cmくらいの大きさの浮き(ブイ)にセンサーを付けて流します。潮の流れに身を任せているので、周りの自然な海の状態をほとんど乱さないデータが取れます。で、暫く後に、ブイを回収します。

……とはいえ、実際はそう簡単な作業ではありません。まず、今の我々は「定点観測」中です。が、1日に何十kmも先へ流れるブイを拾い上げるには、定点を一時離れねばなりません。24時間続いている観測やそれに携わる人のスケジュールの変更など、船中挙げての調整が必要となりました。

また、ブイにはGNSS(GPSも含む測位衛星)受信機が付いていて、位置情報を(衛星通信経由で)船上に送って来るのですが、タイムラグもありますし、そもそもGNSS位置情報だけでは数十cmの小さなブイをすくい上げられません。一歩間違って船がブイを「ひいて」壊してしまっては一巻の終わり。なので、GNSS位置情報を頼りに近くまで行き、そろりそろりと近づきながら、大勢の人間が目視で周りを探します。苦闘10分、今回は(も?)研究員よりも先に(この手の周囲監視に手練れた)乗組員さんが第一発見者でした。さすが。そして、仕上げは小型ボートの出動。小さく繊細な(センサーがたくさん付いた)ブイにダメージを与えぬよう、ゆっくりと近づき、最後はボートの乗組員さんの人の手が、ブイを拾い上げました。

という具合に、船中挙げての騒動となった漂流ブイ観測。こんなことまでして測っているのは、海の表面、数cm〜数十cmの深さの水温や塩分の変化です。海面近くでは、大気の影響(日射、風、雨、……)を受けて大きく状態が変化します。そして、大きく変化した海面の状態は、大気の温めかたや湿らせ方に大きく影響します。そして、影響を受けた大気では、雨雲が湧き、風が巡り、高気圧や低気圧が出来……

今日の回収作業は雨雲の合間で行うことになりました。人工衛星で見ると、どうやら今日の雨雲は、差し渡し1000kmにわたる大きな雲群の一部だったようです。そして、船上で今夕に受信した一部の予報には、この雲群の近くで低気圧が出来、強まりながら北に向かう様子が……!

今後数日は、数cmのデータを調べつつ、それが数千km離れた日本にどう繋がるかも、固唾を呑んで見守ることになるかもしれません。

(M.K.)

Wave glider

During on-station period, we are deploying various observation systems around the Mirai. Yesterday, I introduced TRITON buoy, today I’d like to mention about wave-glider, autonomous surface vehicle.

A wave glider consists of float (yellow part in the photo-1) and glider (identified with many fins in the same photo). This photo does not show its exact configuration during its operation, because both are connected by 8-m long umbilical cable. As you can easily guess from its name, this ASV obtains propulsion power from waves. When the float moves up and down due to waves, its motion changes glider’s fin, so that it accelerates forward motion. The operator on land can control its direction via satellite. Various atmospheric and oceanic instruments are equipped, and solar energy is used for their operation. Namely, it is a nature-friendly new generation observation tool.

Photo-2 was taken when we launched. Owing to its slim configuration, it can measure ocean surface condition without significant turbulence around the vehicle.

This time in addition to standard surface meteorological sensors we have equipped GNSS-receiver, which can measure precipitable water vapor. Since water vapor plays an essential role in regulating convective activity and cloud development, this ASV equipped with various instruments can be used to monitor cloud formation from the viewpoint of air-sea interaction.

During this on-station period, we are deploying three wave gliders, which occupy west, north, and east 50 km away from the Mirai. As you may recall, we’ve already deployed one TRITON buoy at south of 50 km away from the Mirai. Namely, this time our observational configuration consists of six platforms within 50 km radius (five are fixed locations, and one is drifting, which will be mentioned later). This is irregular comparing to previous field campaigns, where we usually form an observation network over 100 km in space. I know, we should keep away from 3Cs on land to avoid any possible risk of COVID-19. However, we are challenging to conduct dense observation here. I believe this configuration will bring a new insight.

Note that after our one-month intensive observation here, we will recover all wave gliders as well as TRITON buoy. I do hope they work well and we can recover them. So do you.

by M. K. (edited at J-Office for English ver.)

 

ウェーブグライダー

昨日ご紹介したように、今回の観測では「みらい」の周囲に無人プラットフォームを複数配置しています。そのもう1種類が、本日ご紹介する「ウェーブグライダー」です。

1枚めの写真が、投入直前のウェーブグライダーです。真ん中の黄色い部分を「フロート部」、下側の、左右にフィンが何本も出ている部分を「グライダー部」といいます。この両者、写真では固定されているように見えますが、一旦海に出るとその固定部の多くは切り離され、長さ数メートルの太いケーブルのみが両者を繋げます。フロート部が海面に浮き、波の力で上下すると、その上下動に応じて海中のグライダー部のフィンが動き、上下動を前進する力に変えて進みます。なので、ちょっとの波さえあれば、動力は不要。進む向きは、衛星経由で指示された目標に向かうように自律的に制御します。省エネの賢い子です。

実際に海上を進み始めたところの写真が2枚めです。フロート部の全長は3mくらい、高さは殆どありません。周りの海水や大気をあまり乱すことなく、自然に近い状態のデータを取ることができます。

このウェーブグライダーには、今回は、海上気象や、海面すぐ近く(水深0.2mと数メートル)の水温・塩分などを測定するセンサーを取り付けてあります。これらのセンサーは、大気と海洋の間の熱・水蒸気・運動エネルギーなどの交換量の計測を意識して選びました。これらに加えて今回は、高精度のGNSS(GPSなどの測位衛星)データを記録し、そこから大気の水蒸気量を測定するチャレンジにも挑んでいます。水蒸気は雨雲の原料であり、その多寡や分布は、雨雲の出来方や、雨雲がもたらす雨や風の分布に影響をもたらします。これらの観測を総合することで、海洋から大気に熱や水蒸気が供給され、大気の水蒸気が増減し、雨雲が出来、雨雲に伴う雨や風が海洋の状態を変え……というサイクルで大気と海洋がお互いに影響しあう「大気海洋相互作用」の観測を目指しています。

今回の観測では、このウェーブグライダーを「3台」同時に展開しています。先にご紹介した「トライトンブイ」及び我々が現在乗っている研究船「みらい」と合わせると、計5点の観測点が、100km四方の空間に配置されています。従来は1点観測や数百km間隔の観測網で調べられてきた大気海洋相互作用を、今回は一桁細かい観測網で測ってみましょう、という目論見です。現在陸上では「密」は避けるべきものとなってしまっていますが、今回は、熱帯海洋上で「密」な観測網を作り出して、新たなデータを得ようとしています。

この3台の賢い子達(と、トライトンブイ)は、観測の最後に「みらい」で日本に連れ帰ることになっています。あと3週間後の再会まで、元気でデータを取り続けられますよう、皆様も応援よろしくお願いしますね。

(M.K.)