航海観測終了!

7月8日(木)

7月5日に最後の放球を行い、これでおよそ1ヶ月半の航海観測を終了しました。7月7日に清水港に無事戻り、8日に下船しました。

長らくのご支援、有難うございました。

(SO)

定点観測中の全部乗せ観測

6月28日(月)晴れ


6月16日から始まった定点観測も終わりが近づいてきました。

定点では2日に1回のペースでオゾンゾンデ・水蒸気ゾンデ、時には雲粒子ゾンデや複数のラジオゾンデを取り付けて(全部乗せ)放球しています。オゾンゾンデを中心に水蒸気ゾンデ、雲粒子ゾンデを取り付け、その上にプラ板を取り付け二つのラジオゾンデを吊り下げました。写真は、放球時のものです。


これでも昔の水蒸気ゾンデ・オゾンゾンデ観測に比べ小さくなっています。

(SO・TK)

順調に40kmを超えて観測

6月13日(日)晴れ


3000gのバルーンを用いた高層ゾンデ観測は、日没の少し前に放球することで対流圏では日射を受けてバルーンを温め、対流圏界面の-80℃以下という低温を通過し、成層圏に届いています。

日没後の成層圏では日射の影響を受けることなく気温を計測し、高度40kmまで着実に到達しています。現在はより安定してデータが取れる工夫を行うなど改良を行っています。

(SO・TK・RS)

高層ゾンデ観測試行錯誤中

6月3日(木)晴れ

5月27日より1日1回のペースで非常に大きい3000gバルーン(通常は350~600g)を使用した高層ゾンデ観測を行っています。

地上から高度40km付近まで観測し、高度30km以上に存在する大気擾乱活動を調べることが目的です。ラジオゾンデで温度を測定する際、昼間は太陽光による日射補正が必要になるため夜間に放球をしていたのですが、高度20km付近でバーストする現象が続いています。考えられる原因として、対流圏界面の低温域に耐えられないことがあげられます。そこで、太陽光の当たる昼間に放球したところ、39.8kmまで観測することが出来ました。現在は対流圏界面までは昼間、それより上層では夜間となる日没付近に放球することを計画しています。

今後も、多くの方々の協力・ご助言を頂きつつ、色々試行錯誤しながら観測を進めていきます。

(SO・TK)

順調に観測中

6月2日(水)くもり

5月27日より1日1回の頻度でオゾンゾンデと水蒸気ゾンデを放球しています。写真は、調整中のゾンデです。

今のところ、おおむね順調に高度30kmを超えるデータを取得できています。オゾンおよび水蒸気の地上から高度30km付近の南北断面が取れており、解析が非常に楽しみです。

一方、高層ゾンデ観測は色々と試行錯誤中です。(別記事に記載)

(SO・TK)

オゾンゾンデの準備

2021年5月25日(火)清水港

清水港で停泊中の観測船「みらい」内で、準備作業を続けています。今日は、オゾンゾンデの準備を行いました。

今回のオゾンゾンデ観測では、電気化学反応式(ECC式)と呼ばれるセンサーを使います。このセンサーでは、オゾン濃度とヨウ化カリウム水溶液中に流れる電流量が比例することを利用して、大気中のオゾン濃度を推定します。観測者は、オゾンゾンデがきちんと動作するのか、様々な装置を使って、観測前日までに、1個につき2時間半ほどかけて入念に確認します。また、観測直前にも1時間ほどかけて最終確認をします。

写真は、観測前日分までの動作確認が終わったオゾンゾンデです。白い箱の中に、オゾンゾンデのセンサー部分が入っています。観測で使う際には、箱の蓋の隙間から細いチューブを出し、そのチューブで大気を吸ってオゾンゾンデセンサーに取り込みます。このオゾンゾンデを大きな気球に付けて、空に飛ばします。

明日26日、「みらい」は出港する予定です。最初のオゾンゾンデ観測も、もうすぐです。

(SO・JS)

出発前のアンテナ設置完了

2021年5月24日(月)(天気:曇り時々晴れ、後時々雨)

本日「みらい」に乗船し、明後日から7月初旬に帰港するまで特殊ゾンデ観測を行います。特殊ゾンデ観測というのは、通常のラジオゾンデ観測で取得する風速・温度・相対湿度等のデータに加え、オゾンや水蒸気量を直接測定する測器をバルーンにつけて放球するものです。これに加え、3000gのバルーンを使用して地上から高度40km付近まで、風速・温度を直接観測する高高度ゾンデ観測も行います。
本観測は、夏季モンスーン・対流季節内変動に伴う物質循環を観測することが目的です。5月26日に清水港を出発し、西部熱帯太平洋域を南下、赤道まで進みます。その後、北西方向に進み定点観測を行います。回航中は1日に1回、定点観測期間は2日に1回の特殊ゾンデ観測を行う予定です。

今日は、出航前に荷物の積み込み、観測で使用するアンテナの設置を行いました。ご協力いただいた皆様ありがとうございます。
写真は設置した3本のアンテナです。後部操舵室の上、GPSアンテナ(一番左に見えている半円状のアンテナ)の横に設置しました。

(SO・TK)

定点離脱

8月7日にm-TRITON係留系を設置して以来、1ヶ月以上の期間を北緯12度東経135度とその周辺で過ごし、ひたすらに3時間間隔の観測を続けてきました。

雨が全然降らずに風も穏やかな好天晴穏日が何日も続いたこともあれば、あちらこちらに雄大積雲が散在する日も、広大な降水域が「みらい」を呑み込んだ日もありました。後に台風8号となる大気擾乱の作り出す雲域の、ちょうど端っこを辿るように航行して漂流ブイを探しに行った日も。

航海計画で目的としていた「北進季節内振動」の観測がどの程度できたかどうかは今後の解析を待たなくてはなりませんが、少なくとも、このように多種多様な気象状況で大気海洋観測データを取得でき、とても幸運に恵まれた航海だと思っています。

今日、m-TRITON係留系を無事に回収し、この地での観測は全て予定通りに終了しました。いま帰路につき始めたところです。夕焼けに映える雲も、もう北に戻る時だよ、と針路を指し示しているかのようでした(写真奥の北を指している矢印に見えませんか?)。

帰りを心待ちにしてくださっている皆様、私たちはあと6日で日本です。お会いできるのを楽しみにしています。

(SY)

過ぎ去る者あり

9月7日のことです。夕食を終えてデッキに行くと周りには雲がもくもく。今日もアンビル祭りかなと思いながら雲を眺めておりました。しばらく経つと、なにやら怪しい影が。ガストフロントが少し離れたところに見えました。写真は9時18分(UTC)に撮影したガストフロントの様子です。
どんどんこちらに近づいてきており、あたりはどんどん暗くなっていきます。風も徐々に強くなり、少しひんやりしてきました。黒い雲が迫ってくるのは、正直怖かったです。
そ、そして、こちらの方、みらいへ突っ込んできました!!写真の時刻から約20分後にみらい上空をガストフロントを伴ったシステムが通過しはじめました。
気温は29℃から25℃まで下がり、瞬間的に20m/sの風が吹き、35mm/hの降水、雷も見られました(グラフ参照)。そんなガストの通過をこの身で体験できたのは貴重な経験になりました。こんなに近くで、しかも熱帯で出会えるとは思ってもみなかったので心躍りました(^^)。

観測もあと一週間を切りました。最近は雲がよく育っています。また面白い現象に出会いたいものですが、8日のブイ回収作業に影響がないことを祈るばかりです。

(K.I.)

満月から数日経って…

9/1の満月の夜から数日、月が徐々に欠け始めました。残念ながら月虹を見ることはかないませんでしたが、いくつか月の面白い写真が撮れたので紹介します。

1枚目の写真は手前の雲が月の光を遮ってしまい、雲よりも奥のエリアだけが明るく照らされています。特にこの日は9/1の満月の夜にとったので、明暗のコントラストがはっきり出た不思議な写真になりました。

2枚目は月の周りに光の輪(光冠)ができています。ここまで大きいものは陸上ではなかなか見られません。障害物のない海の上だからこそ撮れた写真だといえるでしょう。

3枚目は夕焼け……ではなく9/4の午後8時に撮影した月の写真です。大気中の「ちり」の状況、または月の光路が長くなるなどの条件を満たすことで月も太陽と同じように赤~橙色に変化します。

現代では夜でも当たり前に明るく、大半の人は月になんて気にもとめないですが、自然以外の光が少ない環境だからこそ忘れかけていた月の美しさを再認識するいい機会になりました。

(K.K.)