現地報道

昨日(12月27日)、ベンクル測候所では、現地メディアを対象としたプレス発表が行われました。
ここまで順調にデータが取得されている状況を踏まえ、参加機関の1つインドネシア技術評価応用庁が企画して、気象・気候・地球物理庁ベンクル測候所とJAMSTECも加わり、地元へのアピール活動として行われました。YMCではアウトリーチを主要活動の1つとして、特に地元への成果の還元を重視しているのです。そもそもなぜベンクルという町が国際プロジェクトの実施場所に選ばれたのかという話から、集中観測の開始から1ヶ月以上経ち、どのようなデータが得られているのか速報結果の紹介、さらには実際の観測現場にも立ち会ってもらい、活動を紹介しました。メディアに加え、地元の大学生も見学にやってきました。その様子は、早速新聞やインターネット上の記事や動画などで配信されています。確認したサイトのいくつかを紹介します。ただし、いずれもインドネシア語(一部英語)です。 (KY)

Bengkulu News – ベンクルニュース(紹介記事)
(http://www.bengkulunews.co.id/pengaruhi-perubahan-iklim-dunia-jamstec-riset-fenomena-cuaca-bengkulu)

Kompas TV Bengkulu – コンパステレビ(動画)
(https://youtu.be/yyhgMO5UVLM)

安心してください、神ってますよ。

CTDやターボマップのように船の右手横側から海中にセンサー沈める観測では、波浪や海流、横風の強さに応じて絶妙な操船を必要とします。布目航海士(左奥)がセンサーケーブルの状況を目視しながら無線連絡で細かく現場とやりとりし、それと連携して芥川船長(右手前)がそっと撫でるように舵を操ります。

みらいは、もう20日以上同じところにいますが、速度が遅い時ほど風や波や流れの影響を受けやすく、状況に応じた様々な操舵の技術を必要とします。ラジオゾンデは、風を船の左手から受けるように向きを変え、バルーンが船の右手に上手く流れるように体制を作ります。その直後のCTDやターボマップでは、逆に風を右手から受ける向きに体制を入れ替えます。そうするとケーブルを水中に下ろして行く間に、風で船が自然と左手へ流れていきます。そうすることで、ケーブルが船の下に潜り込むことを避けているのです。

つまり、同じ緯度経度に止まりながら、ひと時も休まず、船は巧みに動き回り、様々な条件を船に要求する全ての観測を成立させているのです。当然、安全性も絶対に保った上でのことです。こういう目に見えない総合的なスキルこそ、モテサクは、「神業」と呼びたいのです。無数にある一つ一つの作業や連絡や判断が全て正確でなければ成立しないからです。

「みらい」は、安全で確実に全ての観測を成立させるためだけに向きを変えていきます。観測の合間で、丁度夕日の沈む方向に船首が向く瞬間には、長く乗っていてもなかなか出会えません。こういう瞬間にも言いたくなります。

「神ってる!」

モテサク

「みらい」レーダー

「みらい」の特徴的な観測機材の1つが「気象レーダー」です。

1枚目の写真は、レーダーのアンテナ部の外見です。実際には、見えている白い球形のカバー(レドームといいます)の中で、パラボラアンテナが回転しており、空間をくまなく走査することによって、雨雲の3次元構造を観測します。

「みらい」レーダーの観測データは、既にこのブログでも幾つかご紹介しています。特に昨日の英文記事で紹介した「渦」は、レーダー反射強度(Reflectivity、雨水の量の指標)と、ドップラー速度(Velocity、風の分布の指標)で綺麗に捉えられていました。この2つのパラメータは、「みらい」が就航した1998年以降、各地で取得されています。船体の姿勢や動きを検知するセンサーと、専用にデザインされたアンテナ制御機構により、船体がいくら揺れても傾いても、狙った方向の観測をすることが可能です。このアンテナなら、船酔いとは無縁ですね。

一方、このレーダーは2014年に新型に換装されました。幾つかの改良が行われましたが、ひとつの大きな進歩は「偏波観測機能」の付加です。これによって、雨粒の「形」の情報が得られるようになりました。この情報を使うと、降水粒子の種類(雨、雪、霰、など)の判別や、高精度の雨量測定などが可能になります。

2枚めと3枚目の図は、同じ鉛直断面を観測した際に得られたパラメータです。2枚めは以前から得られている「レーダー反射強度」ですが、気温0度である高度5km付近を境に、下(すなわち「雨」)で強い値が出る傾向があります。一方、3枚めの「KDP」という値は偏波機能で得られるパラメータの1つですが、図の左下側の大きな値は、強い雨がそこだけで降っていることを良く捉えています。加えて、図の右上……高度6km以上で、気温がマイナスになっている場所でも高い値が出ており、これは落下時に横長に見える氷粒子……柱状や板状の氷……が多く存在していることを示しています。他にも得られる偏波パラメータによって、雨の内部構造をより詳しく知ることが出来ます。

実はこの「偏波観測機能」をもつレーダーを搭載した船は「みらい」が世界で初めてです。このため、運用開始以降、データ品質のチェックや向上の為に研究を進めています。その鍵となっているのが、4枚目の写真に写っている耿(げん)さん。揺れる船上でも更に研究を進めている彼には、きっとレーダーにも負けない高性能のスタビライザーが付いているに違いありません。彼の研究結果と共に、「みらい」レーダーは、今回我々が来ている「海洋大陸」、そして世界各地で、海上の雨雲の中身を明らかにしていきます。

(reports by M.K.)

ルームメイト。

堀井孝憲研究員(JAMSTEC)は、インド洋の海洋ブイデータを使った研究のスペシャリストで、ターボマップの昼間のオペレーションを担当しているモテサクのルームメイトです。モテサクは、観測結果を見ながら彼と毎日議論するのが楽しくて仕方がありません。いつもの自然な議論の様子がとってもいい写真でしょう?さて、この写真にはYMCと関係のない不自然なものが3つありますが、あなたはそれらを見つけられますか?もし見つけても誰にも言わずに黙っていて下さいね。

モテサク

superman

「みらい」でのゾンデ手放球時、センサーが船上の構造物に衝突しないよう風向で放球する船側の左右を決めます。その判断は「吹き流し」次第。

雨風に晒されボロボロになってくる吹き流しですが、毎日見ていると意外に気付かないもの。それを見逃さないで、一新してくれたのが甲板部さんです。

炎天下でも、大雨が降っても、連日の観測作業を着実にこなしてくれる「屈強な海の男達」甲板部は、針仕事だって華麗にさばいてしまうスーパーマン達でもあります。
そして、このタイミング(クリスマス・イブ)に交換してくれた粋な彼らに、感謝&うれしさ倍増です!!

(K.T.)

ワンダフル・トゥナイト

クリスマスの夜に現れたイルカが、CTDの真上で幻想的な虹を描いて見せてくれました。ああ、ボクのイルカちゃん、今宵の君ときたらなんてステキなんだい!♪オーマイ・ドルフィン、ユーアーワンダフル、トゥナイト・・・ エリック・クラプトンのギターが聴こえてくるような最高の夜でした。

モテサク

ハロー!みキティ。

波浪!じゃなかった、ハロー!ミキティ!今日も日中のターボマップウィンチオペレーター、お疲れ様です。多和田美紀さんは、新人の観測技術員ですが、船内セミナーでも研究員の発表に鋭い質問をしてくれたり、現場でも積極的なコミュニケーションをとって作業してくれたり、とってもキレ者。サンキュー、ミキティ、明日もよろしくです(・∀・)

モテサク

クリスマス・イブの過ごし方

メリークリスマス!皆様、イブの夜をいかがお過ごしですか?きっと日本中楽しそうに嬉しそうにキラキラ光ってるんだろうなと思いを馳せながら、僕らは淡々と、世界の中心で空と海を測り続けています。

船内の食堂ではささやかな一口サイズのロールケーキを戴いて、セミナー室でデータ解析の結果を議論して、小さな無数のトラブルに一つ一つ対処して、データの品質を高く保つために、各人が毎日同じ事を同じ精度でただただ黙々と繰り返していきます。

僕らにとっての本当のクリスマスプレゼントは、誰かから貰うものではなく、誰かの為になる様に積み重ねたその先に出来上がるものなのです。

写真のお二人は、バケツ採水をしているマリンワークジャパンの武田さんと福田さん。10リットルの表層海水を採取するためにロープを引き上げて、分析の種類数に応じてたくさん用意されたサンプリングボトルに海水を小分けにして保管していきます。

写真奥に見えているのは、CTDのウィンチ。CTDが深度200mを過ぎて300mまで下がっていく間の時間を利用して、バケツ採水の作業を素早く行います。バケツ採水が終わったら、上がってきたCTDの採水器からまた分析用のサンプリングボトルに小分けする作業があります。

他にも諸々並行して作業しながら一回分のプロファイルのデータが出来上がるまでに300mで約1時間(1日一回行われる500mまでだと1時間半)かかり、それを3時間おきに途切れることなく実施しているのです。

モテサクは、そのプロファイルデータが仕上がったらできるだけ早く深度時間変化の図を更新して、「おおおっっっ、スゴイしょっぱくなってる!おおおおお、水温が0.1℃上がってるし!!な、な、流れが、、、向き変わってますよ!!!」と興奮しまくっているのです。

どうですか?僕らのクリスマス・イブの過ごし方も一回は試してみたくなったでしょ?

モテサク

ゆうひとゆうひ

今日の中村雄飛(東大・M2)と夕日は、昨日までと少し違いがあります。今日の夕日は、昨日までと違い、今朝まで90mm近い降水をもたらした大きな雨雲軍団の背中をいつもより色濃く照らしていました。今日の雄飛は、1時間毎の高頻度ゾンデ観測が今日だけ一旦小休止で、通常の3時間毎になり、余裕を持ってゾンデ後の全天観察を堪能していました。

いつも以上になんのひねりもオチもないモテサクがお伝えしました。

有効利用

2017年12月22日(金):久しぶりに朝から雨

最近は3種類のラジオゾンデの比較観測を行っているため、ラジオゾンデを入れた袋に入っている乾燥剤が大量に余ります。捨てるのももったいないので一部はお菓子の乾燥剤に再利用しています(笑)

最後に、きちんと観測している写真も載せます。(tk)